
山路敦司(やまじあつし)教授。
和歌山生まれ。クラシック、現代音楽を基調にコンピュータからオーケストラまでを駆使し、国内外において多様なジャンルで活動するクロスオーヴァーな作曲家・編曲家・音楽プロデューサー。東京芸術大学大学院修士課程(作曲)修了後、米スタンフォード大学音楽学部CCRMA客員研究員などを経て、2000年より本学教員。(http://www.atsushiyamaji.com)
小さいころからクラシック・ピアノを習っていたのですが練習嫌いで、それよりも絵を描いたり工作したりする方が好きでした。両親は私が将来美術系に進むと思っていたようですが、小学生のときに友達から借りたYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のカセットテープが私の人生を変えました。その音楽を聴いた瞬間、私の中で音楽が「聴くもの」から「作るもの」に変わったのです。音楽を工作のように組み立てていくことに興味を持ち、それから本格的に作曲の勉強を始めました。
作曲家・編曲家・音楽プロデューサーとして現在幅広く活動しています。映画音楽・ゲーム音楽・CM音楽のような「映像音楽」や、J-POPのような「歌もの」、特に最近では韓国のアーティストと制作する機会が増えてきましたが、それらを自宅で全部一人で作りあげる時もあれば、100人ものオーケストラと一緒にレコーディングスタジオで録音する時もあります。またコンピュータを使って自動作曲したり音響合成をする研究を行っており、その実験的な作品を海外を中心に発表しています。
私自身について誰も何も知らないのに、私の音楽を聴いて興味を持ちわざわざコンタクトをとってくれたり、その後一緒にコラボレーションしたりするなど、社会の中で作品を通じて人と知り合えることに魅力を感じています。先日もmyspace.comに登録した曲を聴いたベルギー在住のあるダンサーから突然「自分が振り付けを担当する作品にあなたの曲を使わせてほしい」というオファーがありましたが、異文化圏の人から作品を評価してもらえるととても嬉しいものです。
「ものを作る」という行為を通じて重要なのは、自分を知ること以上に相手を知ることだと思います。自分の気持ちを相手にうまく伝えるためにはどうしたら良いのかを、相手の立場になって考える必要があります。例えば多くの人に支持されるヒット曲には「売れる」理由があり、そこには聴き手の気持ちを盛り上げたり良い意味で期待を裏切ったりする、作り手側の「仕掛け」が必ずあるのです。
まだ誰も知らない新しい音響・音楽に対して興味があるのと同時に、誰でも知っているようなスタンダードな音楽を追求したいと常に考えています。Lap Top Jazz Quartetというノートパソコン4台で演奏するジャズ・バンドで活動しているんですが、そこではコンピュータ・プログラムを用いた即興演奏で実験的なライヴを行っています。その他には例えばノイズを使ったアイドル・ポップスや、生のオーケストラによるダンス・ミュージックなど作ってみたいですね。